お気に召すまま

 ダニエルたちによるウルトラマグナスのバースデーパーティーが開かれたその翌日、は仕事に出て行ったウルトラマグナスの書斎を引っ掻き回していた。
 はデストロンに攻撃を受けたある惑星でぽつんとひとり取り残されていたところを、探査に出かけていたウルトラマグナスに保護されたトランスフォーマーだった。オート三輪車にトランスフォームする小柄で明るい彼女は、行くあてのない自分を引き取ってくれたウルトラマグナスの元で暮らしていた。

「ないないない」

 書類をめくってみたり、棚を開けてみたりとは部屋中をうろうろするが、お目当てのものが見つからないのか部屋の真ん中で立ち止まった。探しているのは、”ウルトラマグナスが好きなもの”であった。

「マグナスはなにが好きなのかな?」

 問いかけても答えるものはなく、は唸りながら、ひっくり返したディスクをかき集めてコンソールの上に置いた。

「むずかしいのばっかり」

 むむむ、とは少し考えたあと、通信機のスイッチを入れた。チャンネルを地球人の少年に合わせる。

 ――こちら。ダニエル、聞こえる?
 ――こちらダニエル。聞こえてるよ。どうしたの?
 ――ちょっと聞きたいことがあるんだ
 ――いいよ?でも、いまドコなの?

 ボクは基地の中のパパのラボにいるんだけど、とダニエルが言うとは「マグナスの部屋」と答えた。

 ――今日はマグナスと一緒じゃないんだね
 ――うん。ちょっと探し物

 多忙なウルトラマグナスが自室でゆっくりできる時間というものは殆どない。であるから、は多くの場合ウルトラマグナスにくっついて基地へ行き、彼の横で情報収集をしたり手の空いた仲間とおしゃべりして、仕事の終わったウルトラマグナスと帰っていくことが多かった。

 ――ふぅん。で、聞きたいことって?
 ――あのね、マグナスの好きなものって何かなぁ
 ――ウルトラマグナスの好きなもの?
 ――うん。わかんないの
 ――えー…なんだろう…わっかんないなあ

 ちょっと待って、とダニエルが言うと、パパ、ウルトラマグナスの好きなものって何かな?とスパイクに質問を投げる声が聞こえた。すこし間があって、ダニエルの声が再び聞こえてきた。

 ――ねえ、好きなものを聞いてどうするの?
 ――きのうマグナスのお誕生日だったから、なにかプレゼントしたいと思ったの
 ――やっぱりそうだったんだ。じゃあ、これはパパからのアドバイスね…えー、があげるものなら、ウルトラマグナスはなんでも喜んでくれるだろうってさ
 ――なんでも?なんでもいいの?
 ――そりゃあ、嫌いなものはダメだと思うけど、好きそうなものなら何でも良いんじゃない?のいいようにすれば、さ
 ――……うん
 ――大丈夫?ゴメン、彼の好きなものって分からなくて
 ――ううん、いいの。ありがとうダニエル。考えてみるね
 ――そう?よかった
 ――ありがとう。じゃあ

 通信を切ると、はいそいそとトランスフォームして部屋を出て行った。


***



「おや、じゃないか」

 司令官室へパタパタと走りこんできたにロディマスは少しばかり驚いて、思わず「ウルトラマグナスはいないぞ」と言った。

「マグナスがいないほうがいいの」
「どうした、喧嘩でもしたのか」

 驚きはもう少し大きくなって、ロディマスは自分を見上げる小さな彼女の頭を撫でた。

「ちがうよ。マグナスにはナイショの話」
「ほお、私のお前とのかい」
「そんな感じ。司令官は、マグナスの好きなもの知ってる?」

 ロディマスは昨夜のバースデーパーティーのことを思い出して、おもわず微笑んだ。この小さな居候はウルトラマグナスにプレゼントをあげるつもりらしい。誕生日が決まったのが昨夜だったから、満足に準備が出来なかったのだろう。

「プレゼントだな」

 は大きなアイセンサーのライトをちかちかと明滅させる。なぜ分かったのだろう、とでも言いたげな彼女にロディマスはふっと笑った。

「昨日は誕生日だったからな」

 そうだろうと問えば、は大きくこくりと頷いた。

「しかし、ウルトラマグナスの好きなものは一緒に住んでるお前さんの方が知ってるんじゃないか」
「いろいろ考えたけど、分からなかったの」
「ふむ。そうか」

 ロディマスは右腕の仕事っぷりを思い出しながら、該当しそうなプレゼントを探す。しかし、探せば探すほど見つからないような気がしてきて、検索するのを止めた。彼のプライベートはまったくと言っていいほど知らないから、好きなものどころか仕事以外でどのような行動を取っているのかも知らないのだ。

「わからんなぁ」

 はがっくりと肩を落として「そうだよね」と漏らした。

「しかしな、これは逆に何でも良いということだぞ」
「スパイクも言ってた」

 の不思議そうな視線とぶつかって、ロディマスはひょいと彼女を抱え上げた。

「そうだろう。嫌いなモノ以外にすればいい。たとえば…」
「たとえば?」

 おとなしく抱えられているは、ロディマスの腕に小さな手を添えてそう言った。

「あ、いや」

 待てよ、とロディマスは顎に手を当てて考える。自分を見つめるのアイセンサーは、内部にあるカメラアイをカシャカシャと動かして落ち着きがない。

「そうだ、ウルトラマグナスの好きなものを思い出した」

「ほんと!」

 はじたばたと体を動かして、はやく教えてとロディマスを急かす。対する彼はにやにや笑いを降ろさずに「お前さんだよ」と答えてやった。
 その時のの顔といったら、表情が人間ほど豊かでないトランスフォーマーでもこれだけ変わるのかというほどに、間の抜けた顔をしていた。きょとんとしたに思わず笑いが漏れて、彼女に怒られる。

「司令官なんで笑ってるの!」

 ぷりぷり怒る小さなトランスフォーマーは、誰が何と言おうとも可愛かった。ウルトラマグナスが溺愛するのも分かるなとロディマスはお堅い表情の彼を思い出して、もう一度笑った。
 だいたい、ウルトラマグナスは彼女を初めて連れてきたときからそうだった。身寄りのない生命体などこの銀河系には星の数ほどいるわけで、ウルトラマグナスがいくら心優しいとはいえ彼らをいちいち引き取ったりはしないだろうと思っていたから、傷だらけのを連れておおわらわでリペアルームに駆け込んだのは驚きだった。彼もそんなに焦るのか、と。
 そしてきれいに治った彼女を引き取ると言ったのが次の日だった。あまりに早い展開にさすがの自分も付いて行けなかったことを覚えている。ウルトラマグナスなら、彼女を任せるに相応しいものを見つけるために走り回りそうなものなのだが本人たちはそれで納得していたようで、嬉しそうに彼にまとわり付いていると彼女を守るように大きな手を添えているウルトラマグナスが印象的だった。

「いや、すまんすまん。あまりに当たり前すぎて忘れていたから、なぜ気づかなかったんだろうと思ってね」

 むう、とはじたばたするのを止めてロディマスを睨んだ。ちっとも怖くないその表情に相貌が崩れるのは仕方の無いことだった。

「でも、わたしをプレゼントするの?」

 そっと床に降ろされたは腕を組んでこくりと頷くロディマスに、どうやってと問うた。

「まあプレゼントと方法はいろいろあると思うが…誕生を祝う習慣は人間たちから教わったから、こっちも人間に聞くのがいいんじゃないか」
「わたしのプレゼントの仕方?」
「そう」

 言いながらネットワークに接続したロディマスは様々なプレゼントの方法――おもにラッピングについてを調べてみた。大きな箱の中にが入ってウルトラマグナスにプレゼントするのもいいし、一日だけウルトラマグナスの言う事をなんでも聞くというのも面白い。なにもつけずにリボンだけを結んでも可愛いかもしれない。もしくはウルトラマグナスが、というよりは男がされて嬉しいことをしてみるとか…  ロディマスはどんどん広がっていく想像ににたつきながら、ああでもないこうでもないと一人悩んだ。

「司令官、やっぱり分からないよ」

 きゅん、とのブレインサーキットから情けない電子音が響くと、ロディマスは彼女の頭を撫でる。

「じゃあひとつの提案をしよう」


***



 一仕事終えたウルトラマグナスは腰掛けていた椅子から立ち上がると、真後ろでまだ作業に勤しんでいるパーセプターに声を掛けた。

「パーセプター、キリの良いところで休んでくれよ」
「了解です」

 顕微鏡にトランスフォームしてなにやら細かい部品をいじくりまわしているパーセプターは、レンズをくいとウルトラマグナスの方へ向けてそう答えた。

「じゃあ、また後で」
「はい」

 パーセプターが何かを解析し始めると彼の気が済むまで終わらないから、ウルトラマグナスはそれ以上声を掛けずに部屋を出た。
 今日はが傍にいなかったからいつもより仕事が捗るかと思ったが、いなければいないで部屋でどうしてるだろうかとかトラブルに巻き込まれていないかだとか、違った心配事が湧いてきてそうでもなかった。逆に、傍にいるほうが目が届いて安心のような気さえした。
 心なしか急ぎ足になっていることには気づかずに、マグナスは自室への道をほかには目もくれずに歩いた。

「あ、ウルトラマグナス」

 そのせいだろうか、目の前に小さな仲間がいることに気づかず、ウルトラマグナスは自分を呼ぶ声に驚いて立ち止まった。明るいイエローのボディと、頭からぴょこんと飛び出した二本の角がトレードマークのバンブルだった。

「バンブル」
「が、早く帰ってきて欲しいなって言ってましたよ」

 伝えてくれって言われたわけじゃないですけど、とバンブルはニコニコしながら言った。ウルトラマグナスは彼女がここまで来ていたことに少し驚き、ワンテンポ遅れて「そうか」と答える。

「そうか。は今日来ていたんだな」
「そうみたいです」

 彼女が何の用で来ていたのかは分からないが、もう仕事は終わっているし、特に寄るあてはないのでがそう言うなら急いで帰ってもいいだろう。

「ありがとうバンブル」
「いえいえ」

 お疲れさん、とバンブルに声を掛け、ウルトラマグナスはトランスフォームして走り出した。今日は彼女の意思で部屋に残るといったから、仕事場には連れて行かなかったが、やっぱり寂しかったのかもしれない。
 いつも明るくて、取り残されていた時の不安げな陰は全く見えないだが、ごく稀に塞ぎ込んでしまうこともあるのだ。それは自分でも覚えていない恐ろしい出来事のフラッシュバックであったり、わけもなく寂しくなってしまうといった、ウルトラマグナスにはどうにも出来ない理由であることが多い。そして彼女はそれを必死に隠そうとするから、余計にストレスが大きくなってしまい感情が爆発してしまうのだった。
 がなぜあの惑星でひとりぽつんと取り残されていたのか、まだ聞いてはいなかった。しかるべきときが来たなら彼女から話してくれるかもしれないし、話してくれなかったとしても無理に聞く気にはなれなかった。精神的にまだ成熟していないが、あの戦渦の中で経験したことはきっと彼女の想像を絶するものだったろうし、それは時折見せる不安げな様子から見て取ることができる。多くの戦場を潜り抜けてきたウルトラマグナスにとって身寄りのない者たちは決して珍しくはない。彼らのために生活の場を提供したこともあるし、のようにまだ一人では生きていけない者の為に保護者を探し回ったこともあった。
 同じような状況でと出会ったはずなのに、なぜだかウルトラマグナスは彼女に惹かれた。女性型だからでも、彼女が頼りなく見えたからでもなく、なぜあんな所に一人でいたのかが気になって仕方がないから――と自分では思っているのだが、周りに言わせて見れば、それは一目ぼれに違いないということらしい。ウルトラマグナスはふにゃりと笑うを思い浮かべて、おもわず表情が緩んだ。たしかに、気になる、だけではないのかもしれない。彼女が笑うと嬉しくなるし、明るい声は自分を癒してくれる。くるくるとよく動くアイセンサーが、おしゃべりな唇が、ぱたぱたと軽快に動くボディが、全てが愛しくて仕方がない。どこにも行けないように、自分から離れないように閉じ込めてしまいたいとすら思う。

 やはり仕事場に連れて行くべきだろうか、と考えている内にウルトラマグナスは自室の前にたどり着いていた。ロックを外して中に入ると、戻ったよと声を掛ける。

「?」

 入ってすぐの大きな部屋に彼女の姿はない。おやと思いながらもウルトラマグナスはリペアポッドのある小さな部屋のドアを開いた。ここにも居ない。

「、どこだ」

 悪戯心をおこしてかくれんぼでもしているつもりならば良いのだが、ウルトラマグナスは漠然とした不安を胸に彼女の部屋を覗いたが、そこにもいなかった。

「仕方ない子だな」

 いよいよ残る部屋は自分の部屋だけだ。ウルトラマグナスはいてくれよと心の中で呟いて、静かに私室へ入った。

「……ん?」

 出かける前よりもなぜか散らかっているそこに、ウルトラマグナスは驚いたが、それ以上に目の前に置かれた大きな箱が気になった。

「なんだ、これは」

 青と白のストライプが可愛らしい包装紙に、真っ赤なリボンが掛けられている。いわゆるプレゼントというヤツだ。リボンにはウルトラマグナスにとっては少しばかり小さい紙のカードが挟まっていて、打ち出されたものではなく、おそらくが書いたのであろう字で”お誕生日おめでとう”とあった。
 二つ折りになっているそれを開くと、同じ字で短い文章がいくつか並んでいた。

「お誕生日おめでとう、ウルトラマグナス。誕生日には間に合わなかったけど、プレゼントを用意したからもらってください。マグナスの好きなものが分からなかったから、みんなに聞いてこれにしました。気に入ってくれるとうれしいです。よりウルトラマグナスへ」

 ウルトラマグナスは読み終えると、こみあげてくるものが多すぎて手紙を握り締めそうになりながら、プレゼントの方を見た。
 は、昨日のバースデーパーティの時に誕生日にはプレゼントを贈るものなのだということを知ったらしい。昨晩のパーティでも言葉では表しつくせない幸せな気持ちになったが、この瞬間もまさにそうだった。が自分のためにこうしてプレゼントを準備してくれたことが嬉しくて、ウルトラマグナスのブレインサーキットは唸り、冷却水がアイセンサーに集まってくる。

(ありがとう)

 手紙を大事に仕舞うと、ウルトラマグナスはリボンを丁寧に外して紙を広げた。真っ白な箱が姿を現し、その蓋をそっと開ける。何が入っているのだろうか。
 ウルトラマグナスが箱の中を覗こうと顔を近づけたその時、彼の首になにかが巻きついてぐいと引っ張られる。

「!!?」
「ハッピーバースデー!」

 身を引いたウルトラマグナスの首に掴まる形で宙ぶらりんになっている箱の中身――自分の体にピンクのリボンを巻きつけているが、ウルトラマグナスの目の前でそう言った。

「……!!」
「プレゼントはね、わたしなの」

 突然のことに吃驚してしまったウルトラマグナスは、箱から出てきたのがだと認識するのに少し時間が必要だった。一瞬で機能を停止したブレインサーキットが徐々に回復していくと、ようやっと彼女の顔がアイセンサーいっぱいに広がる。反応のない彼に、は首を傾げて名前を呼んでいた。

「マグナス?」
「…」
「びっくりした?」

 首にぶら下がったままの彼女を抱き上げて床に降ろすと、ウルトラマグナスはまじまじをその姿を見た。
 の丸いフォルムに沿う様に巻きつけられているリボンは、肩のあたりで蝶々結びになっていて可愛らしいが、なんとなく可笑しくもあった。

「ああ、とても」
「プレゼント、分からなかった」

 はウルトラマグナスの大きな手を取って「だからわたしにしたの」とはにかんだ。その笑顔にサーキットが唸るが、さっき誰かに聞いたとか何とか書いてなかったか。そもそも自分をプレゼントにするというのはどういうことだ。

「あのね、今日は私がプレゼントだから、マグナスの好きにしていいよ」

 にこにこと自分を見上げてくる小さなに、ウルトラマグナスはスパークが爆発するのではないかと思うぐらい驚いた。彼女は分かって言っているのだろうか?きっと分かってない。いや、そもそも自分はナニを考えているのだ。をそんな目で見たことなんか………いつもそんな目で見ている訳じゃない。そう、いつでもじゃない。

 ――”好きにしてもいい”だと!

「どうしたの?」

 体中で喜びを表現したいような、しかし素直に喜べないような…そも喜ばしいことなのかさえ怪しくなってきて、ウルトラマグナスは顔をしかめた。しかめて無理やり表情を作っているのだ。

「…気に入らなかった?」

 が見る見るうちに表情を曇らせ、声のトーンを落として自分を上目遣いに見た。怒られるのではないかと思っているのだろう、その不安げな様子にウルトラマグナスはいかんいかんと表情をいくぶん和らげて「いや」とすぐ否定した。

「そ、そうじゃない。いきなりでびっくりしただけだ」

 頭をよしよしと撫でると、はアイセンサーを細めて嬉しそうに見上げてきた。この笑顔が見られるならそれでいいのだ。

「しかし、これは誰の提案だい」

 少しばかり動きにくそうなのリボンを緩めながら、ウルトラマグナスは問うた。彼女にこんなことを吹き込んだのは、どこのどいつだ。

「し、…えーと、ナイショ!」

 は口が滑りそうになるのを手を口元に当てることで何とか抑えて、もう一度ナイショと言った。

(し……司令官か)

 ウルトラマグナスは一瞬冷ややかな気持ちでもってロディマスの明日のスケジュールを探した。空いている時間に少し話し合う必要がありそうだ。

「なんだ、私の好きにしていいんじゃないのか?」
「それはまた別!」

 はぺろりと小さな舌を出して言い返すと、ウルトラマグナスの腰にぎゅっと抱きついた。外れかけて緩くなったリボンが絡まって、躓いたような格好で抱きついてきた彼女を支えて、そっと持ち上げる。視線がかち合うと、はにこっと笑った。

「そうか、じゃあ諦めよう。でも今日は私のものだな」
「うん」

 深い意味など分かっていないはにこやかに頷いて「なんでもするよ」と言った。

「じゃあ今日はずっと一緒だ」

 抱えていたを横抱きにして、ウルトラマグナスはコンソールの前にある椅子に腰掛けた。が不思議そうに見上げてくるから、どうしたと聞いてやる。

「いつも一緒なのに?」

 なんでもいいのに、と掃除、お手伝い、お使い…と指折り彼女なりの”好きにしていいこと”を挙げるの頭に、ウルトラマグナスは唇を寄せて笑った。
 くすぐったそうに身を捩るは「ホントにいいの?」と物足りなさそうに聞いてくる。

「お前がもう少し大きくなったら、その時の誕生日には違うプレゼントを貰おう」

 頭や額、頬に優しく口付けを落として、ウルトラマグナスはそう言った。きゅうきゅう唸るのブレインサーキットが少しだけ熱を帯び始める。

「わ、くすぐったい」

 戯れのような、啄ばむ口付けにはくすくす笑いながらウルトラマグナスを見た。悪戯っぽく微笑んでいる彼の表情は、とても優しいものだった。 





「ね、マグナス」
「なんだ」
「私が大きくなったときはどんなプレゼントがいいの?」
「知りたいか?」
「うん」

 純粋な好奇心で自分を見つめてくるに、ウルトラマグナスは「まずこの部屋を片付けてからにしようか」と小さく笑った。



***あとがき***

新たなヒロインを作るのが大好きな病気が発症してしまい、また増えました。でも過去はだいたい同じような感じなんですけど。
戦災孤児とかTF界でもありそうですが、そもそも子どもという概念があるのかどうか微妙…でも精神的に未熟なのはいっぱいいる(笑)からアリかなと。
なんといいますか、トラウマ持ちのヒロインが好きすぎて頭がパーーン……圧倒的な力の差で可愛がられるというシチュエーションが好きなんだ……
だから安定感のあるキャラが好きなんだろうな〜
どうでもいいヒロインメモ
デフォルト名は、オート三輪車のミゼットから。なかなか可愛いデザインですが、機能的には四輪の前に出たヤツなのでゆるいスペックです。たぶん。
TFもみんながみんな出来る子ばっかじゃないので、旧型とか、戦いには何の役にも立ちそうにない一般TFもいたんだろうな、と妄想。